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シリーズ 共に生きる【37】(令和6年3月1日号)

日々の交流が災害時の安心に

ランブクピティヤ ディヌーシャさん
平成20年、スリランカから来日し、平成29年から久留米大学に講師として勤務。 現在は同大学の外国語教育研究所日本語教育部門部門長(准教授)として多文化共生などの研究を行う

1月に能登半島地震が発生し、多くの人が避難生活を余儀なくされています。外国人という立場で、平成28(2016)年の熊本地震を経験した久留米大学准教授のランブクピティヤ ディヌーシャさんに話を聞きました。

耐えられなかったのは「孤立感」

 熊本県に家族4人で引っ越してわずか2週間という時に地震に遭いました。なんとか家族と避難所に行きましたが、そこで感じたのは食べ物や物が欲しいということよりも「孤立感」でした。近所の人たちなどとの関わりはこれからという時だったので、声を掛け合うということができず、誰かとつらさや思いを分かち合えないことが耐えられませんでした。

 そんな中、子どもの同級生が私たちに声を掛けてくれました。その子も同じ時期に引っ越してきていたようでした。まだ周りと交流できずに孤立を感じて、境遇が似た私たちといることで安心したんだと思います。声を掛け合えるお互いの存在が日々の安心感につながりました。外国人に限らず、人とのつながりが心のケアになると感じました。

日頃からコミュニケーションを

 災害時に知らない人と会話したり、関わったりすることは難しく、外国人となるとなおさらです。だからこそ日々の生活の中で、お互いに関わり合うという意識が大切。あいさつでもいいんです。お互いを知っていれば、災害時に協力し合える事も増えると思います。外国人にもできることはあるのに、支援される側になりがち。実際、私は一緒に何か支援をしたいと思ったのですが、避難所では誰に声を掛ければ良いのか、何をすべきなのかが分かりませんでした。「一緒にやりませんか」という一声があれば、知恵を出し合う事もできたと思いますし、私たちも輪に入れたという大きな安心感につながっただろうと思います。

 特に災害時は、日本人、外国人関係なく、みんな同じ不安な思いを持つと思います。人種や国籍で区別するのではなく同じ地域で暮らすもの同士として、簡単な日本語を使って、日頃から交流を重ねていけば、互いに共感し合える存在としてどんな時も歩み寄っていけるのではないでしょうか。

【問い合わせ先】広聴・相談課(電話番号 0942-30-9096、FAX番号 0942-30-9711)

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