2月11日(祝日)から久留米市美術館で「リアル(写実)のゆくえ」が開催されます。明治期以降の日本の絵画や彫刻、工芸における写実表現が、現代にどのように継承され、再考されてきたのかを探る展覧会です。
日本には、鎌倉時代の仏像や江戸期の自在置物など、固有の写実表現がありました。明治期に近代化の流れで、西洋由来の写実表現を本格的に受け入れます。以降、日本と西洋の異なる「写実」が日本で混在することとなりました。結果、高橋由一は部分描写を重視したリアリズム絵画を生み出し、高村光雲は、伝統的な日本の彫刻に、西洋的な造形を加えた精緻な表現を試みました。日本と西洋の「写実」が交わる表現は、現代を生きる作家たちにも受け継がれています。現代作家の七搦(ななからげ)綾乃や満田晴穂などの彫刻作品、本田健の油彩画、秋山泉の鉛筆画などには、対象の細部へのこだわりも見ることができます。
展覧会では、日本の写実を26作家約120点の作品を手がかりに探ります。明治期の松本喜三郎たちの生人形、高橋由一の油彩画、高村光雲の彫刻などを導入として、水野暁や小谷元彦ら現在活躍中の作家による作品を展示。作品は、大きさや素材、技法も異なります。立体と平面が混じる空間で、作家が「リアル」に何を求めているのかを感じることができます。会期中、関連イベントも実施。詳しくは、市美術館ホームページで確認してください。
【問い合わせ先】久留米市美術館(電話番号0942-39-1131、FAX番号0942-39-3134)
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