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シリーズ 共に生きる【20】(令和4年6月1日号)

お互いのやりたいことを大切にする

 2018年の内閣府男女共同参画局の報告によると、女性の46.9%が第1子出産後に離職しています。自身も子育てしながらジェンダーについて研究を続けている宮地歌織さんに話を聞きました。

宮地歌織さん
佐賀大学客員研究員。大学の男女共同参画事業や国際協力、海外におけるジェンダーなどの研究に携わっている。久留米市男女平等政策審議会委員。昭和47(1972)年生まれ

一方に偏らない方法を考える

 子どもを持っても、私には仕事を辞めるという考えはありませんでした。働きながら子育てする自分の母親の姿を見てきたし、「経済的に自立したい」という強い思いがありました。
 夫の母国であるフランスは出生率も高く、出産後の職場復帰は当たり前といわれています。親が子育てについて責任を持ち、家事を分担する社会なんです。日本でも、男性の育休取得や家事・育児の分担は、少しずつ増えています。ただ社会では「それは当然、母親(女性)の役割」という認識がまだ男女とも高く、子育てに関して女性への負担がまだ大きい気がします。子どもが幼いときに、2人同時に夜に大事な仕事が入ったら、あるいは飲み会に誘われたら、女性が諦めがちなようです。私たちは、どちらかが諦めるのではなく、何かしらの方法を探すようにします。一方に偏らない子育ての方法を考えることが大事だと思います。

自分のやりたいことを心に持ち続ける

 男女共同参画のセミナーなどを実施すると、妻や夫は、互いに言いたいことが言えないことも多いのかなと感じます。私の場合、「フランス風」に夫に対して「こうしたい」、「こうしてほしい」と伝えるようにしています。「自分軸」という自分のやりたいことを心に持ち続け、それを相手に伝えることは大事かなと思っています。日本だと無意識に「母だから」、「妻だから」、「女性だから」と自分で制限をかけてしまうことも多いのかもしれません。
 私は、忙しい毎日の中で、夫と朝30分散歩をしています。そのときに仕事のスケジュールや子育てのこと、互いの趣味やさまざまなことを話します。自分がやりたいことをやれたら、相手にも「どうぞ、行ってらっしゃい」と言える心の余裕ができます。また夫婦間だけではなく、職場でも思ったことを言える「風通しの良さ」が、互いの働きやすさにつながるのではないでしょうか。

【問い合わせ先】男女平等政策課(電話番号0942-30-9044、FAX番号0942-30-9703)

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