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シリーズ 共に生きる【19】(令和4年5月1日号)

泣くことを我慢しないで

 大切な人を亡くした悲しみや喪失体験を抱える人に寄り添い、日常生活を取り戻す支援活動をしている古賀千鶴さんに話を聞きました。

古賀千鶴さん
久留米グリーフケアCafe(カフェ)〜やすらぎの部屋〜の代表。
令和2年に設立し、毎月第1日曜日に開催。グリーフ専門士、グリーフカウンセラー。昭和28(1953)年生まれ

後悔の念で自分を責める

 愛する家族や友人と死別し、悲しみや恋しさ、苦しみなど、さまざまな感情を抱くことを「グリーフ」と言います。眠れない、食事ができない、外出ができない、なぜ自分だけが生きているのか、いっそ死にたいと思ってしまうこともあります。相談を受けた人の中には、「自分以外の家族は、立ち直っているのに自分ばかり悲しんでいては、心配をかけてしまう」と、家族の中で孤独に陥るケースや、「最期にみとれなかった」、「もっとやってあげられる事があったのでは」と、後悔や自責の念に駆られて苦しんでいる人もいました。グリーフは、人によって違いがあり、抱く感情の長さや深さ、表現は異なります。季節や場所によって亡くなった人を思い出し、悲しみが湧き出てくることもあります。

悲しみは消えないけど横に置いて

 時間がたてば、立ち直れると思われがちですが、決してそうではありません。大切な人が亡くなったことを受け止められずに、時間が止まっている状態。気持ちの中心に「悲しみ」があり、新たな一歩が踏み出せないのです。悲しみを消すのではなく、ちょっと横に置いてみてください。亡くなった人と一緒に日常生活を送っているんだと。時には泣いてもいいんです。我慢しないで。ゆっくりでいいから気持ちを話してください。誰にも言えなかったつらさを話すだけで、心の痛みを「放す」ことができます。

アドバイスではなく受け止める

 グリーフは、死別だけではなく、離職や失恋、病気、災害などの喪失体験でも起こります。苦しんでいる人がいたら「助けてあげよう、何かしてあげよう」と思い、特別なことをするのではなく、相手のペースで、話を聴いてあげてください。うなずくだけでもいいんです。アドバイスや励ましは、かえって相手を傷つけることも。安心して話せる居場所や、話を聴いてくれる人がいるだけで、その人は自分の感情を受け入れながら、新たな一歩を踏み出すきっかけになるのではないでしょうか。

【問い合わせ先】保健予防課(電話番号0942-30-9728、FAX番号0942-30-9833)

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