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シリーズ 共に生きる 10(令和3年6月1日号)

生き方の選択肢を増やすために

 2021年、世界経済フォーラムが発表した日本の男女平等の格差は156カ国中120位で、世界的に見ても日本の男女平等が進んでいるとは言えません。妻がモーターボートレーサーで専業主夫の日高邦博さんに話を聞きました。

日高邦博さん
久留米市男女平等政策審議会委員。長女の誕生を機に仕事を辞め、主夫になる。講演会などの講師や執筆活動を行い、現在は日本語教師の一面も。昭和36(1961)年生まれ

性別役割分担意識がもたらすもの

 結婚して長女が生まれたのを機に専業主夫になりました。妻は職業の特性上、月の半分以上は留守なので、主に私が育児をしました。私たち夫婦は、男性は「仕事」、女性は「家庭」という性別による役割を意識したことはありませんでしたが、子育てする環境の中で感じることが多々ありました。育児講座や健診などに行くと、男性はいつも私一人。最初は参加するのも恥ずかしかったです。抱っこひもなどの子育て用品も今ほど機能的ではなく、男性にとって使いにくいものもありました。性別役割分担意識は女性の社会参画を阻害するだけでなく、男性にとっても生き方の選択肢を狭める要因になります。

少しの勇気が周りの意識を変える

 慣習や慣例は給与格差や昇進差別を生む一因となり、女性の社会進出を阻害してきました。人々の意識が変わらない、男女平等が進まない根源は、この慣習や慣例にあると思います。同時に、女性の中にも「それは男性の役割だから、私たちは縁の下の力持ちでいい」という考えの人もいたはずです。誰もが性別にとらわれず、生きやすい環境をつくるには、互いを尊重し、理解し、変わることへの勇気や希望を誰もが持たなくてはなりません。
  最初はママ友社会から、異性として距離を置かれているように感じました。ところが、時間がたつにつれ「同じ子育てをしている仲間なんだ」と受け入れてくれるようになり、「今晩何作る?」があいさつになりました。一歩踏み出すことで周囲の意識も変わったんです。

人それぞれの生き方を尊重して

 家事や育児に参加することで、子どもの成長をそばで見られました。2人の子どもはすでに成人しましたが、「結婚するならパパのような男性がいいな」と言ってくれます。人生には色んな選択肢があると思います。誰もが自由な選択ができる環境づくりが進むことを願っています。

【問い合わせ先】男女平等政策課(電話番号0942-30-9044、FAX番号0942-30-9703)

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