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シリーズ 共に生きる 第9回(令和3年5月1日号)

支え合いが心の栄養になる

 全国的に自殺者が増えています。新型コロナの影響で、暮らしや健康問題などの悪化も要因の一つといわれています。久留米市民ゲートキーパー絆の会顧問で、久留米大学学長の内村直尚さんに、自殺を防ぐ取り組みを聞きました。

内村直尚さん
久留米大学の医師で、精神医学・睡眠医学を専門分野とする。睡眠研究の第一人者として活躍。令和2年から久留米大学の学長を務める。昭和31(1956)年生まれ。

孤立化が進んでいる

 コロナ禍は、私たちを孤立化させています。高齢者や障害のある人などの社会的弱者は特に顕著です。社会的弱者は支援やコミュニケーションをより必要とします。しかし、地域の集まりどころか、病院やデイサービスなどの医療・介護施設にも行きにくくなっています。そうなるとコミュニケーションが取れずに、一人で思い悩み、抱え込んでしまいます。

誰かに話すことは心の栄養

 心に余裕がないと、イライラしやすくなり、周りの人のことを考えられなくなります。心のコントロールはとても難しく、誰かの何気ない一声などでも不安定になります。孤立は心が不安定になる大きな要因です。人と話して、愚痴をこぼすだけでも、気は楽になります。誰かに相談することは、心の安定につながり、心の栄養にもなります。心が不安定な状態だと、誰かに話すという選択すらできないことも。抱え込む前に身近な人や行政の「こころの健康相談」、かかりつけ医を頼るなど、まずは誰かに話してほしいですね。

お互いの支え合いが住みやすいまちへ

 久留米市は、大学や医師会と一体になって自殺対策をしています。地域の人を見守って命の門番となる市民の活動「ゲートキーパー」が加わることで、孤立化をより防ぐことができます。ゲートキーパーが地域の人たちの「少し元気がない」ことに気付き、声を掛ける。相談機関につないで、その後も見守る。これはまさに「共に生きる」の実践だと思います。久留米地域はこの支え合いの活動がしっかりとできています。コロナ禍の今は、これまで培ってきた「共に生きる精神」を発揮するときです。先の見えないこの苦しい状況下で、自分のことだけを考えていては生きていけません。みんなで支え合い、一人一人が相手のことを考えながら共に生きていくと、本当に住みやすいまちになっていくと思います。

【問い合わせ先】保健予防課(電話番号0942-30-9728、FAX番号0942-30-9335)

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