トップ > 広報くるめ > シリーズ みんなで生きる みんなが活きる 第6回

シリーズ みんなで生きる みんなが活きる 第6回(令和3年2月1日号)

進む取り組みから、地域共生社会実現の視点を考える

森山智子さん(左)、阪本信介さん
 生活困窮や引きこもりなどの困りごとに対応する生活自立支援センターは、市内を東西に分割して担当。森山さんと阪本さんは各エリアの主任相談支援員で、センター開設以来、多くの人の自立を支えてきました。

本質を見抜き伴走し続ける(最終回)

白紙になって聴く

 個別支援の現場では、思い込みを排除し、裏に潜む真の課題を見いだすことが重要。生活自立支援センターの森山智子さんは「白紙になって聴くこと」を常に意識しています。森山さんが関わった本田秀和さん(仮名・59歳)は30年以上勤めた製造工場が閉鎖し、50歳で離職しました。その後は職を転々とし、1年ほど続いた職場も人間関係の悪化から心の病に。そのまま退職となり同センターに相談に来ました。
 本田さんは持病があり、年齢的にも再就職が厳しい状況でした。しかし、森山さんが本田さんと向き合う中でたどり着いた真の課題は「字の読み書きができない」こと。2文字以上並んだ漢字や片仮名が理解できないという障害が潜んでいたのです。工場で長年働けたのは、親方の動きを見て覚える仕事だったから。転職を繰り返したのはこの障害のためでした。

共通理解が成長のきっかけに

 本田さんの希望である生活の安定のために、森山さんは課題を整理しました。障害者枠で就職するため、障害者手帳の取得を提案。面接を申し込む時は、森山さんが障害の特性や程度、働く上での希望などを会社に伝え、再就職が円滑に進むようにしました。収入が減った分は、障害年金の受給手続きを行うなど、収入の総額を意識した生活再建を進めました。本田さんは「相談前に申し込んだ面接はほぼ門前払い。森山さんが整理してくれたおかげで希望の仕事に就くことができ、生活していけると思えたんです」と話します。現在の会社で働き始めて4年。職場の理解が成長の後押しになり、書類の漢字も随分読めるようになったと言います。定年を迎える今年初めに「会社から『定年を延長するからもう少し働いてみないか』と言われました」と笑顔で森山さんに報告しました。
 「自立した人からの報告は、その後の支援に必ず生きる。支援員を温かな気持ちにし、次に向かわせてくれる。なので、支える側と支えられる側という関係ではありません。私たちも支えられています」と森山さんは話します。

【問い合わせ先】地域福祉課(電話番号0942-30-9175、FAX番号0942-30-9752)

この事例はどれ?

地域共生社会の実現のために、13の取り組みの視点があります。掲載した取り組み事例がどれに当たるかを、星マーク★マークで示しました。

地域共生社会に向けた取り組み13の視点

  1. つながりの構築
  2. 見守り活動の推進
  3. 誰もが集える場の拡充
  4. 星マーク★個別対応が必要な人への支援
  5. 災害時要支援者への支援
  6. 権利擁護の推進
  7. 多機関連携の推進
  8. 財源確保の推進
  9. 地域における人材の育成
  10. コミュニティーなどへの支援
  11. 事業者などの地域貢献の促進
  12. 福祉人材の養成と資質の向上
  13. 福祉の理解を深める取り組み

▲このページの先頭へ