トップ > 広報くるめ > 特集 新型コロナ禍で生まれた 新しい市民活動
新型コロナの発生で、私たちは外出や人との交流、社会活動への参加を控えなければならない生活を強いられました。これからは感染リスクを抑えながらも、人や地域のつながりを維持できる新しい環境づくりが必要です。
【問い合わせ先】協働推進課(電話番号0942-30-9064、FAX番号0942-30-9706)
福岡県に「緊急事態宣言」が発令され、私たちの生活は一変しました。人との交流も、地域での集まりもできない日々に、多くの人が不安を抱えました。
世界中で新型コロナウイルス感染症が猛威を振るう中、市もイベントの中止や公共施設の閉鎖を決定しました。市の施設や校区コミュニティセンターが閉館したことで、これまで行ってきたイベント、健康教室、ボランティア活動、サークル活動なども一斉に中止。地域の皆さんで協力して実施していた清掃活動や防犯パトロールも自粛することになりました。新型コロナで日常は一変。これまでの「当たり前」がそうではなくなったことに気付かされました。
人との交流や外出する機会が減ることで、高齢者が認知症になったり、介護リスクが高まったりすることが懸念されます。家庭で過ごす時間が増えると同時に、先行きの見えない不安やストレスから、子どもや女性、弱い立場の人への虐待・DV被害も増加傾向に。周りの人に相談できず、SOSを出しにくくなりました。新型コロナの発生は、私たちの健康や経済に悪影響を及ぼすだけではなく、人や地域のつながりを分断し、社会的な孤立を生み出しました。
新型コロナが長期化する中、人々の安全で安心して暮らしたいという思いは高まりました。さまざまな工夫で活動を続けることはできます。
「活動をいつになったら始めていいか」、「これまでのやり方を変えて活動したい」など早く活動したいという声が出ています。久留米市は、感染防止を行いながら活動を続ける方法や、他団体の活動事例を紹介するなど、皆さんの「つながり」を応援しています。
これからも活動を続けられるように、各校区コミュニティセンターの感染防止対策やICTを活用した環境づくりを支援。市民活動に取り組む団体には「市民活動・絆づくり推進事業費補助金」を準備しています。今年度からは、フードバンクやフードドライブ活動への補助金も新設しました。
新型コロナの発生で、私たちは誰かとつながっていることや、支えたり、支えられたりすることがいかに大切かを改めて実感させられました。「コロナ禍だから活動をしてはいけない」と思うのではなく、3密や感染防止に配慮したり、電話やメール、インターネットをうまく活用することで活動を続けることができます。
これからは、人や地域のつながりを絶やさないために、様々な工夫やアイデアを出し合いながら、活動を継続する新しい社会が大切です。
オンラインで、リモート会議や交流会をしたいけど、やり方やどんな機材が必要か分からない市民活動団体のために「みんくる」がお手伝いします。まずは相談をしてください。
【問い合わせ先】市民活動サポートセンターみんくる(電話番号0942-30-9067、FAX番号0942-30-9068)
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【みんくるスタジオでサポート】
新型コロナの発生で、活動を自粛する状況だったからこそ、築いてきたつながりを維持したい。強い思いで、活動を続けている人たちがいます。さまざまな形でつながりを大切にしている皆さんです。
久留米市 校区まちづくり連絡協議会 会長 石橋良光さん
久留米市46校区コミュニティ組織が、地域の特性を生かしたまちづくりに向け、課題解決と活性化に取り組んでいます
新型コロナで困ったのは、人が集まれないことです。大事な意思決定の場である総会も書面会議で行いました。通常、会議は活発な意見が出ますが、書面となると少なくなり、戸惑いを感じました。「率直な意見が聞きたい」、そのためには面と向かって話す方がいいと私は考えます。
校区コミュニティセンターは3月から臨時休館となりました。その間、「いつから再開するのか」など多くの問い合わせがありました。校区の皆さんから活動の拠点として、人とつながる場として期待されていることを再確認。同時に、皆さんの心のよりどころとして開館を継続しなければならないと思いました。準備を重ね、6月に校区コミュニティセンターは再開しました。利用人数の制限やマスクの着用、検温など感染防止対策を徹底しています。コロナ禍でのまちづくりを46校区で意見交換するなど、ICTの活用にも取り組みます。まちづくり活動が途切れないように試行錯誤しながら、進めていきたいと思っています。思いやり・支え合いの場をつなげるために、これからも皆さんと一緒に考え続けます。
日吉ふれあいの会 会長 橋本光子さん
日吉ふれあいの会 会計 佐田志保子さん
「日吉ふれあいの会」は単身高齢者宅の訪問や子どもたちとの触れ合いタイムなどの活動をしています
新型コロナ発生後は、それまで行ってきた活動ができなくなりました。何かできることがないかと、もどかしい気持ちが募る中「会員にマスクを作って配ってはどうか」と提案しました。ミシンを持っている人、眠っていた着物の生地やゴムなどの材料を提供してくれる人など次々に声が上がり、話は一気に進みました。3密を避けるため作業を分散して行いました。配るときは「ふれあいの会」と分かるように手作りのメッセージを添えて、会わずに郵便受けに投函。後で電話で説明し、とても喜ばれました。自分たちがやったことに感謝の言葉が返ってきたのはうれしかったです。
電話で話すことで高齢者の状況確認にもなりました。例えば、国の特別定額給付金。理解していない人、申請を忘れている人に制度や手続きを分かるまで説明しました。
実際に会う方がいいけれど、電話でもつながることはできると感じます。これからもできる活動を続けていきたいと思っています。
特定非営利活動法人ハッピーママくらぶ 代表 鳥村孝子さん
発達障害の子どもや保護者の支援と啓発活動を行っています。月1回の「ハッピーママくらぶ通信」発行をはじめセミナーや講座など開催しています
私たちの活動形態は、新型コロナを経験し、一気にICT化が進みました。つながっていくことは必要。でも、これまでの方法では難しい。新型コロナの影響は、いつまで続くか分からず、長期化する可能性もあります。今後は、Withコロナを前提に活動しなければ、継続できないと考えました。オンライン講座を始めるために、Zoomを活用しました。受講料はPayPayなどで前払い。資料は、ホームページから各自ダウンロードしてもらうなどして、5月には講座を再開しました。Zoomの使い方が分からない人には、電話で使い方を教えることで、市外からの講座参加者も増えました。オンラインを取り入れたことで、遠方の会員も参加でき、活動の活性化にもつながりました。
つながりを絶やさないために、コロナ禍でも活動を続ける方法はいくらでもあります。これまで通りではないかもしれません。でも逆につながる可能性が広がり、新しいつながりの形が見えてくるかもしれない。活動を続けていくには、できないことだけを見るのではなく、変化を受け入れていくしかないと思います。私たちもまだまだ試行錯誤の毎日ですが、今の状況を前向きに捉えて頑張ります。
一般社団法人久留米健康くらぶ 事務局長 横道勝紀さん
認知症の進行防止、予防を目指す認知症予防カフェ「ほっとカフェ中央町」などを運営しています。登録制で、現在約80人が通っています
認知症カフェでは平日、楽しみながらできる脳トレや運動などの進行予防の活動をしていました。新型コロナの影響で利用者が通えなくなったので、電話で様子を確認。ほとんどの人が運動しない、人と話していないことが分かりました。そこで、日付、体温などを記入する健康チェック表を作って、利用者に郵送。その後も2週間に1回、電話でチェック表を元に状況を確認しました。体を動かしてほしいという思いから、シートの裏に家でできる運動の絵を描いたり、DVDを作り、家で見てもらったりしました。利用者からはチェック表が体調管理に役立ったとの反響もありました。
カフェでは運営側も利用者側も対策を行っています。双方が一緒に対策していくことが大事です。3密を避け、机の利用を1人1台にして、マスク着用と消毒を徹底。対策をする理由を理解できずにいる利用者もいますが、スタッフが繰り返し説明することで協力してもらっています。7月からは、携帯、スマホ教室を開催。電話、メールができるようになれば、お互いに安心感も高まります。今後もつながりを継続する方法を一緒に作っていきます。
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