日本は、世界と比べて性教育が遅れています。久留米大学で看護学や助産学を教えている田中佳代教授に話を聞きました。
日本で「性」と言うと、一般的に快楽を求めることや、子どもを作るための行為という認識が根付いていると感じます。しかし、本来「性」は、人との関係性や他者とのつながりも含み、自分の人格の一部であり、自分自身のものです。
例えば、男性から性行為を求められた時に、女性は望まない妊娠や性感染症が不安でも「きちんと避妊をしてほしい」と言い出せません。子どもの頃からの刷り込みで「そのようなことを女性が口にするのは恥ずかしい」と思ってしまうことがあるからです。また、性行為を拒否することで「恋人に嫌われてしまうのでは」と思う場合もあります。しかし、「性」は大切な自分の心と体です。強要されるものではありません。自分の「性」を大切にできるのは、自分自身だけなのです。
性に関する教育とは、知識だけではなく、自分と他者を大切にすること、人との関係を築く力を育てることです。幼少期から教育現場や家庭で連携しながら教えていくことが大切だと考えています。 このような「性」の考え方や、体の仕組み、妊娠・避妊に対する知識などを正しく知ることができれば、インターネットでの誤った情報や、当たり前に感じていたことに疑問が生まれ、間違いやおかしいことに気付くことができます。
将来、医療の現場に立つ学生に私がいつも言っていることは、人の心の痛みが分かる人になってほしいということ。そのためには傾聴と共感が大事です。傾聴は相手の立場に立って理解しようとすること。共感は相手と同じ気持ちになって寄り添うことです。さまざまな経験を通じて、他者を、自分自身を知り、相手の立場に立って考えられる人になってほしいと思っています。性に関しても同じことが言えます。人の心に寄り添える社会、自分の気持ちを、自分の「性」を、大切にできる社会をつくっていかなければなりません。
【問い合わせ先】男女平等政策課(電話番号0942-30-9044、FAX番号0942-30-9702)
(注意)シリーズ「じんけんの絆」は「共に生きる」と題し、装いを新たにスタート。少し立ち止まって、自分や大切な人のことから人権を考えてみませんか。
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