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久留米市保健所長に緊急インタビュー あなたの行動が命を救う(令和2年5月1日号)

未知のウイルスを克服するために今できること

 新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るっています。4月7日、福岡県に「緊急事態宣言」が発出され、16日に全国へと拡大。私たちの命と健康を守るためには、この局面をどう乗り切ればいいのか、保健所長に聞きました。
(注意)記事は4月19日時点で制作しています

【問い合わせ先】保健予防課(電話番号0942-30-9730、FAX番号0942-30-9833)

健康な細胞を破壊するウイルス

 コロナウイルスは、これまで6種類存在していました。そのうち4種類は、私たちが日常的にかかる軽症の風邪です。残りの2種類は、2002年に世界的に流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)で、深刻な呼吸器疾患を引き起こします。昨年12月に、中国で新型が発見され7種類になりました。コロナウイルスは、人間や動物の体内に入り、発熱や下痢、咳などを引き起こします。特に、高齢者や糖尿病、心不全などの基礎疾患を持っている人は、重症化しやすくなります。
 新型コロナウイルスの表面は、コロナ(冠)のような形をしています。人の鼻や口から体内に潜り込み、この冠が肺などの細胞に引っ掛かり付着します。その後、ウイルスは増え続け健康な細胞を壊していきます。

医療従事者の疲労もピーク

「とりあえず病院」は危険

 市民の皆さんの中には、「久留米市は医療機関が多いから、何かあればすぐ診察してもらえる。入院して治療ができる」と思っている人もいるかもしれません。陽性患者を受け入れるには、医療設備はもちろんですが、院内感染を防ぐ対策、呼吸器内科、感染症の専門医師や看護師などの専門スタッフが必要です。全ての医療機関が対応できるわけではありません。風邪の症状や37.5度以上の発熱が4日以上続いている、倦怠感や息苦しさ、嗅覚や味覚障害などがある場合は、必ず保健所の新型コロナウイルス相談センターに電話をしてください。
 感染の疑いがある人が、かかりつけ医などを受診すると、院内感染を起こしたり、医療従事者が濃厚接触者となったりして休院につながります。保健所には医師が常駐しています。聞き取りをして、少しでも陽性が疑われる人は、検体を取り、PCR検査を実施しています。保健所、医療機関、検査機関と十分な連携が取れているので、安心して相談してください。

【市新型コロナウイルス相談センター(帰国者・接触者相談センター)】
電話番号 0942-30-9335
受付時間 8時30分〜21時

医療崩壊を招かない

 感染者の増加に伴い「医療崩壊」という言葉が飛び交うようになりました。これは、入院を必要とする感染者数が、確保している病床数を超えることや、人工呼吸器などの医療機器が不足することを指しています。常に、感染の危険にさらされている医療従事者を疲弊させないことも重要です。感染者が少ないうちは、軽症者も入院できましたが、今では、重症者の治療を最優先しなければなりません。福岡県は、軽症者や無症状で、重症化の恐れが少ない患者は、県が指定するホテルに移動させ、引き続き療養してもらうことを明らかにしました。

目に見えない敵と闘っている

予防が唯一の特効薬

 現在、新型コロナウイルスに効く特効薬はありませんが、「アビガン」を始め、多くの臨床試験が行われています。しかし、現状の対症療法としては、解熱剤などで症状を緩和し、人工呼吸器で呼吸を維持する治療を行いながら、自らの免疫で回復するのを待つしかありません。だからこそ、一人一人がいかに感染しないかが最も重要です。感染経路は「飛沫感染」と「接触感染」です。この2つをしっかり遮断することで予防ができます。これまで以上に咳エチケットや手洗いをしっかりすることです。
 マスクをしていても、目から感染することもあります。首から上は手で触らないようにすることがポイントです。眼鏡を掛けるのも良いでしょう。咳などで空気中に飛散したウイルスは、金属やガラス、プラスチックなどの表面に付着して、2〜3日生存するともいわれています。新型コロナウイルスは、アルコール消毒などで、感染力を失うことが知られています。テーブルやドアノブ、便座、スイッチなど、多くの人が触れる部分は、小まめに消毒をすることで、感染の拡大を防ぐことができます。

かからない、うつさないために

 国内で、クラスター(集団感染)が発生したのは、「換気の悪い密閉空間」、「多数が集まる密集場所」、「間近で会話や発声する密接場面」など、「3密」の共通点があります。この条件がそろうと感染リスクが上がります。そのような場所は絶対に避けてください。日頃、2メートル以内の至近距離で会う人が10人いるとすれば2人に減らすなど、人との接触も8割減らしてください。自分もかからない、周りの人にもうつさないようにすることができます。
 不要不急の外出自粛要請や休業要請が出て、社会全体が大混乱している中、皆さんの多くが不安やストレスを抱えていると思います。しかし、かつて経験したことが無い危機的状況を乗り越えるためには、私たちの行動を徹底的に変えるしかありません。日常生活の中で、一人一人が新型コロナウイルスにどう立ち向かうかを真剣に考え、行動に移すことこそが、最大の感染防止なのです。

保健所を2分化し万全の体制へ

 市は、保健所を中心にコロナ対策業務を行っています。職員の感染リスクを減らし、もし感染者が出ても業務を続けられるように、商工会議所と本庁舎に執務室を分けています。4月19日までに、相談センター(帰国者・接触者相談センター)に寄せられた電話は4,301件。調査機関で実施したPCR検査数は261件です。陰性と判定された人でも、その後14日間の健康観察を行っています。

軽症で自宅療養になったら

 以下の点に注意してください。本人は外出を避け、同居している家族も熱を測るなど健康観察をしてください。特に、家族に咳や発熱などの症状が出た時は、家から出ないでください。

  1. 食事や寝るときも別室にして、部屋を分ける
  2. 世話は限られた人が行い、糖尿病の人などの持病がある人は世話をしない
  3. マスクを外す時はゴムやひもをつかみ、表面を触らない
  4. 小まめに手を洗い、目や鼻、口に触れないようにする
  5. 共有スペースや他の部屋の窓も、定期的に換気をする
  6. 手で触れる共有部分は漂白剤などで消毒し、水拭きをする
  7. 手袋やマスクを着けて洗濯する
  8. 鼻をかんだティッシュペーパーなどはビニール袋に入れ、口を密閉して捨てる

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