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久留米市美術館 とき・ひと・美をむすぶ(令和元年8月1日号)

市美術館のイベントや所蔵作品を紹介します。

神話の世界は時を超えて

 「ペレウスの饗宴」では、ギリシャ神話の英雄アキレスの両親の婚礼が描かれています。宴たけなわ、オリンポスの神々が一斉に見つめているのは、右端の招かれざる客、不和の女神エリス。彼女が投げ入れたリンゴは、「パリスの審判」という騒動を引き起こし、やがて争いはトロイ戦争へと拡大することになります。
 横長の画面は、元々、作者のエドワード・バーン=ジョーンズが、イタリアの古い祭壇画のような、複数の絵を組み合わせた作品を構想していたことによります。この絵は、メインとなる大きな絵画の下に帯のように連なる場面の一枚として計画されていたのです。
 バーン=ジョーンズに心ひかれていた青木繁にも、横長の画面にたくさんの人物が居並ぶ「天平時代」という作品があります。この2枚、比べて見ると、右にいる半ば影に隠れた人物や、個々のポーズなどがよく似ています。現在、美術館に隣接する石橋正二郎記念館では、まさにその「天平時代」を展示中。時代も地域も越える芸術の展開を、ぜひお確かめください。【学芸員 佐々木奈美子】

【問い合わせ先】市美術館(電話番号0942-39-1131、FAX番号0942-39-3134)

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