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第40回 じんけんの絆(令和元年5月15日号)

情報を読み解く力

 情報化社会が進み、たくさんの情報があふれる中、性差別につながる言葉や表現がいまだに多く存在します。西日本新聞社に勤務し、久留米市男女平等政策審議会の委員を務める堺成司さんに話を聞きました。

時代と共に変わる男女観

 新聞記者として久留米に赴任した頃、妻の出産と市内での発砲事件が重なりました。生まれたばかりの子どもの顔を5分も見られず、すぐに現場へ向かいました。記者としての使命感から急な取材も当たり前と思う一方で、緊急時以外でも家庭を顧みない働き方が根強い社会に違和感を抱きました。このことをきっかけに、男女の問題を考えるようになったんです。
 男女雇用機会均等法の施行から25年の節目に、「新訳男女」という連載を企画。時代と共に男女の関係がどう変わってきたか、子育てや介護、LGBT など、さまざまな視点から男女問題を考えました。この企画を通して、性差別は身近すぎて人権問題と気付きにくく、無意識のうちに差別してしまっている風潮が根強く残ることが分かりました。

人権を書いて守る

 数十年前は記者のほとんどが男性で、目線に偏りのある記事が多くありました。新発売を紹介する記事で若い女性に商品を持たせた写真を使ったり、被害者が女性の場合は大きく取り上げたり。文章の中でも性差別につながる表現が見られました。新聞などのマスメディアは発信力が強い分、誤った情報を流せば悪い影響も広がってしまいます。そこで、平成3年に人権問題のガイドラインを社内で策定。その中で性差別を問い直す項目を設け、「女々しい」など女性差別につながる言葉や「男泣き」といった男性像・女性像を決めつける表現などを改めました。私たちは「人権を書いて守る」という考えを持って取材し、記事にしています。

発信は責任を伴う

 インターネット上にはたくさんの情報があふれ、根拠の無いものや誤ったものも混じっています。情報に流されてしまうと、知らず知らずのうちに差別的な考えになってしまうことがあります。自分の価値観をしっかり持って、うそか本当かを読み解く力が必要です。
 一方で、SNSで簡単に投稿できるようになり、誰もがメディアになれる時代。個人でも社会的責任を負います。何気ない投稿でも傷つく人が居ると考えてほしいです。
 テレビや雑誌、新聞の中にも性差別につながる表現がまだまだ残っています。市民の皆さんが読み解く力を持って情報に接することで、メディア側の責任感も高まり、信用される発信が保たれていくと思います。

【問い合わせ先】男女平等政策課(電話番号0942-30-9044、FAX番号0942-30-9703)

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