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久留米市美術館 とき・ひと・美をむすぶ(平成31年4月15日号)

市美術館のイベントや所蔵作品を紹介します。

新婚時代の妻がモデル

 坂本繁二郎と言えば、代表作「放牧三馬」のような、馬や牛を描いた画家というイメージがあるかもしれませんが、実は人物画も数点、描いています。
 この作品は、結婚したばかりの妻の薫をモデルにしており、タイトルの「張り物」とは、洗った布にのりを付け、板に張って乾かす作業の事を言います。
 薫が縁側で張り物をしていると、坂本が「ちょっとそのまま」と声を掛けてスケッチを始め、それが2週間ほども続き、布の赤い色がすっかりさめてしまったそうです。このポーズを2週間もとらされた妻は、さぞ大変だったでしょう。
 庭から降り注ぐ陽光を受けた布の赤い色が、人物の腕や袖、顔に微妙に反射する様を捉えた、坂本の作品の中でも最も明るい光に満ちた作品です。【学芸員:中山景子】

【問い合わせ先】市美術館(電話番号0942-39-1131、FAX番号0942-39-3134)

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