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第39回 じんけんの絆(平成31年4月15日号)

学び続けて見えたこと

 合川校区で人権啓発推進協議会の会長を務め、積極的に地域で学習会や人権新聞の発行に取り組む松隈敏昭さん。活動に取り組む上で、大切にしている思いを聞きました。

母の怒りが私の原点

 知人に誘われて人権啓発推進協議会の副会長になったのが71歳でした。人権啓発に関わって5年。思い返すと、幼少期の体験が、私を突き動かす原動力でした。
 私の父は早くに戦死しました。戻ってきた骨つぼの中に遺骨は無く、石ころと木の板だけ。衝撃的でした。小学校で「私のお父さん」という作文の宿題が出た時、何を書けばいいか分かりませんでした。母に相談すると、すごく怒った顔で部屋に閉じこもったんです。数時間後に出てきた母は、父の居ないありのままの生活をつづった紙を私に手渡し、私はそれを清書しました。
 母の行動への疑問は、心の中で膨らみ続けました。本当の答えは分かりません。戦争に奪われた父と当然にあったはずの幸せへの、やるせない気持ちだったのではないかと思います。母の怒りがあったから、平和や人権の大切さを実感し、学び、考え続けているのだと心から思います。

自分と他者との差異

 戦争は、当然あるべき人権を無条件に奪います。日本国憲法の成り立ちを読み解いていくと、私たち人間は、分断の歴史を歩んできたのだと感じます。
 自分と他者との違いに固執して、分断に分断を重ね、果てしない戦争や抗争を繰り返してきました。一部の人にとっては、大義があったかもしれませんが、多くの人にとっては虐げられ、多大な人権抑圧の歴史でしかなかったと私は思っています。

当たり前のことを当たり前に

 私たちは、同じ地球上に、同じ人間として、同じ権利を持って、同じ時代を共に生きています。「自分にしてほしくないことは、人にもしない」、これが人権の根幹であり、私にとっても生涯のテーマです。
 昨年の人権の集いで人権学習の発表をする子どもたちが、人権を守る大切さを純粋に訴える姿に感銘を受けました。難しく考えず、まずはそういう場に接することから始めて、人権を学び考える機会を増やすことが大切ではないでしょうか。

【問い合わせ先】人権・同和対策課(電話番号0942-30-9045、FAX番号0942-30-9703)

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