トップ > 広報くるめ > 久留米初演100周年記念

久留米初演100周年記念(令和元年12月1日号)

市民と九響が「第九」を演奏

 久留米に収容されたドイツ兵によって、1919年に第九が演奏されました。市民が第九を鑑賞したのは、日本で初めて。初演から100年を経て12月28日(土曜)に、久留米シティプラザで九州交響楽団と市民で作る合唱団が演奏します。

1300人が生活

 約100年前、現在の国分町にドイツ兵捕虜の収容所がありました。国内最初で最大の収容所で、1300人以上を収容。兵士たちは条約の下、安定した暮らしを送り、元の職業や特技を生かして多様な活動を行っていました。
 市民との関係はとても友好的で、さまざまな交流がありました。人々は親しみを込めて彼らを「ドイツさん」と呼びました。彼らは近代西欧の文化、スポーツ、工業の技術などを広め、久留米のゴム産業を中心とするものづくりのまちへの発展に大きく貢献しました。

学生へのお返しで演奏

 大正8(1919)年、久留米高等女学校(現明善高校)の生徒がドイツ兵になぎなたの演舞を披露しました。そのお返しとして、ベートーベン交響曲第9番第2・3楽章が演奏されました。これは日本で初めて市民が「第九」の演奏を鑑賞したものでした。この演奏から今年で100年目となります。
 市制施行130周年記念事業の一つでもある、「第九」の初演100周年記念演奏会に向け、8月に「久留米第九を歌う会」合唱団が発足しました。市内外から参加する約240人が、ドイツ語で合唱します。九州交響楽団と合唱団が織り成す第九は本場さながらです。

ドイツさんを語り継ぐ

 合唱団発足の中心となったのが、「久留米第九を歌う会」副会長の木村清吾さんで、合唱の指導を行っています。木村さんは「人や物の歴史に比べて、久留米と第九のような歴史的背景や、文化を残していくのは難しい。せっかく久留米には第九が市民に向けて初めて披露されたという縁があるので、これを大切にしたいと思いました」と話します。
 ドイツ人久留米俘虜収容所と久留米の関係は、偶然が生んだ奇跡でした。今回の演奏会や企画展を通して、さまざまな「ドイツさん」を知ることができます。これをきっかけに、市は、ドイツさんとのつながりを市民の皆さんと共有。ユニークな歴史遺産として将来に語り継いでいけるよう、取り組みを進めます。

【久留米初演100周年記念演奏会 ベートーベン第九】

  • 日時=12月28日(土曜)、開場14時、開演15時
  • 場所=久留米シティプラザ ザ・グランドホール
  • 料金=全席自由2500円、当日は500円増し。チケットは同プラザ、石橋文化センター、木下楽器店、カワイ楽器久留米店

【問い合わせ先】文化振興課(電話番号0942-30-9224、FAX番号0942-30-9714)

久留米に響く「第九」の調べ

【企画展】

  • 日時=12月18日(水曜)から28日(土曜)までの10時〜17時
  • 会場=久留米シティプラザ 展示室
  • 内容=第九の久留米初演100周年記念演奏会に合わせて、久留米に残るドイツ兵捕虜の足跡を写真や資料などで紹介

【問い合わせ先】文化財保護課(電話番号0942-30-9322、FAX番号0942-30-9714)

▲このページの先頭へ