児童虐待をはじめ、さまざまな事情で親と暮らせない子どもたちがいます。しかし、子どもにとって家庭で育つことは大切で、子どもの権利でもあります。子どもが安心して育つための「里親制度」について、実際に里親をしている平田さん夫婦に話を聞きました。
現在3人の里子と暮らしている平田美徳さんとレイ子さん夫婦(北野町)。平成17年から里親として登録し、これまで引き受けた里子は6人。初めての里子は2歳半で、まだおむつをしていました。
美徳さんは警察官として長年勤務したあと、福祉施設に転職。施設の立ち上げ、運営などに携わりました。施設を定年退職した後も、人のための仕事をしたいという気持ちが強く、里親になることを決意しました。美徳さんは「福祉に関わりながら一生を過ごして、自分磨きをしていきたい」と話します。
里親制度の良いところは、里親・里子の関係だけでなく、里親の親族とも関わりが持てることです。孫と一番下の里子の年が近いこともあり、とても仲が良く、よく一緒に遊んでいるそうです。平田さんの子どもが、里子を旅行に連れて行ったことも。「親戚との関係など、人とのつながりが広がるのも里親制度の特徴だと思います」。
美徳さんが大切にしていることは、子どもたちの「自主性」を養うこと。生活の中で自分で考えて行動するように伝えています。児童養護施設などは集団生活になるため、決められた時間に決められたことをする生活になってしまいがちです。一方、里親は家庭に近いので、目標や将来の夢について、子ども自身で考えることの大切さを教えられます。何が欲しい、何がしたい、そのためにはどうしたらいいかなどを、子どもとコミュニケーションを取りながら伝えられるのです。
「一番年下の子は欲しい物を買うために、お小遣いを上手にやりくりしてお金を貯めています。また別の子は、将来1人で生活していくためにお金が必要だと考えて、バイトを始めました。勉学と両立できるように、働く日数を自分で調整して日々頑張っています。これが自主性なんですよ」。
近年、児童虐待の事件が増えています。レイ子さんは、親の孤立が要因の一つと言います。「アパートなどでは、隣の人すら知らないこともあると聞いて驚きました。子育ては地域で支え合いながらするものであって、孤立した状態でなんて、ものすごく大変なことですよ」。
大事なことは、子育てがつらいと少しでも感じたら、ふさぎ込まないで誰かに頼って相談することです。里親制度は一時的な養育を受けることもできます。里親に預けている間に、仕事や育てる環境を整えるなど、子どもを再び迎え入れる基盤を作ることも可能です。
美徳さんは里親の登録者数が少しでも増えてほしいと話します。「制度がもっと多くの人に理解されて、地域に里親という受け皿が増えればと思います。そうすれば、子どもは近くの里親を頼ることができ、転校などをせずに済みます。近くの友達などと今まで通りに遊んだりすることもできます。地域で子どもたちを見守る仕組みができれば、子育てに困っている人が、難しく考えずに相談して頼れる。児童虐待は減っていくはずです」。
【問い合わせ先】家庭子ども相談課(電話番号0942-30-9208、FAX番号0942-30-9718)
里親制度は、さまざまな家庭の事情で親と暮らせない子どもの養育を、児童福祉法に基づいて里親として登録された人に、一時的もしくは継続的に委託するものです。
里親には幾つか種類があります。何らかの事情で家庭で育てられなくなった子どもを、養子縁組をせずに預かる「養育里親」や、両親の死亡などやむを得ない事情で親族が養育をする「親族里親」、里子と養子縁組をするものなどがあります。
里親になる条件は、里親自身が健康であることや子育てに対する理解と愛情を持っていることなど、決して難しいものではありません。里親が夫婦である必要もありません。児童相談所で研修を受けた上で、里親になる要件を満たしているかを児童福祉審議会が審査。認定されると里親として登録されます。詳しく知りたい人は、家庭子ども相談課や児童相談所に問い合わせてください。
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