11月16日(土曜)から来年1月13日(祝日)まで
命あるものを真摯に、愛情を持って観察し続けて描いた熊谷守一。身近な動植物を見つめる守一のまなざしに作品を通して迫ります。
岐阜県出身。戦前は二科会を中心に発表を続けながら、二科技塾の講師を務めるなど後進の指導も行っていた。戦後には美術団体から離れる。また明確な輪郭線で縁取られた簡明な形態と色面を特徴とする「モリカズ様式」を完成。享年97歳
久留米市美術館は、11月16日(土曜)から熊谷守一の企画展を開催。本展は油彩画を中心に、書や日本画、デッサンなど150点を紹介します。
守一は、久留米出身の洋画家・青木繁と東京美術学校(現東京藝術大学)の同級生。描き方について議論するなど、共に学ぶほどの親交がありました。
守一の作品には、見つめ続けたからこそ捉えられた生き物の一瞬の動作が、色彩と構図を入念に計算して描かれています。本展は東京美術学校時代の作品から、「モリカズ様式」の完成、晩年までの画風のゆるやかな変貌を見ることができます。
子どもの頃から絵を描くことが好きだった守一。黒田清輝らに指導を受け、アカデミックな絵を描く素養を身に付けました。1930年代には「モリカズ様式」の萌芽となる赤鉛筆の線を使った作品が登場します。以来20年をかけ、簡素な色彩とはっきりした輪郭の画風「モリカズ様式」が完成しました。
しかし、76歳の時に病に倒れ、50坪程度の自宅の庭で過ごすことが多くなります。庭には虫や草花などの小さな命があふれていました。守一は生き物たちが、自然のままに生きるさまを、ござに寝転がったりしながら見つめ続けました。こうして描かれた生き物たちの姿は、単純化されながらも特徴が強調され、今にも動き出しそうなほどです。
晩年は、色彩もより鮮やかになっていきます。守一の絵は80歳を越えてもなお、変化を続けました。
【問い合わせ先】久留米市美術館(電話番号0942-39-1131、FAX番号0942-39-3134)
熊谷守一と妻秀子の生活を描いた沖田修一監督の作品(2018年公開)を上映
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