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第44回 じんけんの絆(令和元年10月15日号)

広い視点が新たな時代をつくる

 平成元年、日本で初めての「福岡セクハラ訴訟」で原告女性を支援し、その後もDVや性暴力被害者への支援に携わっている久留米市男女平等政策審議会委員の甲木京子さんに「女性への暴力」について聞きました。

世界共通の問題

 今から30年前、日本ではセクシュアル・ハラスメントやDVという言葉は知られていませんでした。広く言葉が知られ、取り組みが始まったのは、つい最近のことです。平成16年に「DV防止法」が制定。メディアで取り上げられるようになり、少しずつですが女性の人権についての理解が進んできました。
 しかし、女性への暴力は、今でも世界中で起きています。紛争が起きている国や地域では、女性の誘拐や兵士との強制結婚なども頻繁に起きていて、女性というだけで被害を受けています。世界共通の問題でもあり、まだまだ解決から程遠い問題でもあるのです。日本も例外ではありません。

理解してくれる人を増やす

 私たちの社会には、女性を自分の思いのままに支配したいとか、性的に利用しても構わないなどジェンダー(生物学的な性別(SEX)に対して、社会的・文化的につくられる性別のこと)に基づく誤った認識を持った人が居ます。そういう人が加害行為を起こすのです。女性の意識や行動の問題ではありません。にも関わらず、被害者は何の落ち度もないのに「あの時、もっとこうしていれば」や「その場から逃げなかったのが悪い」などと自分を責めてしまいかちです。また、被害者がきっかけを作ったかのような周囲の誤解や偏見が、さらに被害者を傷つけています。被害を受けた人の多くは、落ち着いた生活を取り戻したい、仕事を続けたい、人間関係を維持したいなど、人間に基本的に与えられている安全に生活する権利を求めているだけです。被害者の気持ちや加害の構造について多くの人が理解することが、より安全な社会を作ることにつながります。

女性への暴力解決が第一歩

 今では女性の被害だけではなく、男性やLGBTQ(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、クエスチョニングなどの性的少数者のこと)の人たちの性被害やDV被害にも注目が集まっています。新たな人権の視点や取り組みが必要な時代でもあるのです。しかし、これらの問題の根底にあるのも、性別による役割分担の意識の根深さや、女性への暴力を引き起こすジェンダー構造ではないかと思います。まずは、女性への暴力の根絶に向けた動きを加速すること。その中で、私たち一人ひとりがさまざまな状況の人への配慮や、広い視点を持っていくことが重要です。

【問い合わせ先】男女平等政策課(電話番号0942-30-9044、FAX番号0942-30-9703)

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