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久留米市美術館 とき・ひと・美をむすぶ(令和元年10月1日号)

市美術館のイベントや所蔵作品を紹介します。

反逆から融和へ

 イギリスは、複数の国がまとまって成立している連邦国家です。その中の一つであるスコットランドは、長くイングランドと争い、独自の文化を誇ってきました。羊毛の織物「タータン」もその一つです。しかし、ステュワート家が率いるスコットランド軍が王位継承を賭けた反乱に敗れた1746年には、タータンを含む民族衣装は着用を禁じられてしまいます。
 作業着や軍服として細々と生き残ったタータンが再び脚光を浴びるのは、産業革命の後。近代化が進むにつれ、素朴な魅力を持つ民族文化は再び見直され、タータンも復権しました。1822年に英国王ジェームズ4世がスコットランドのエディンバラを訪れた際、キルト姿で登場して皆を驚かせます。それは、先の反乱で敗走したステュワート家のリーダーがエディンバラ訪問の際に身につけていた因縁の柄でした。反逆の印から融和の象徴へ。そのタータンは「ロイヤル・ステュワート」として今でも親しまれています。【学芸員:佐々木奈美子】

【問い合わせ先】市美術館(電話番号0942-39-1131、FAX番号0942-39-3134)

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