6月28日ごろから日本付近に停滞し活発化した梅雨前線の影響で、西日本は記録的な豪雨に見舞われました。
久留米市は、7月5日から7日までの大雨で1675件の浸水被害や約13億円の農作物被害などが発生。
「平成30年7月豪雨」は市内に大きな爪痕を残しました。
【問い合わせ先】防災対策課(電話番号0942-30-9074、FAX番号0942-30-9712)
5日17時。市は土砂災害警戒区域のある11校区に「避難準備・高齢者等避難開始」を発令しました。6日4時25分に出された土砂災害警戒情報で、市は災害対策本部を設置し、同校区に避難勧告を発令。その後、7時59分に洪水警報、17時10分には大雨特別警報(土砂災害)などが発令され、河川の水位が見る見る上昇。市ホームページで水位カメラ映像を配信しました。
避難勧告や指示は、フェイスブックなども活用して迅速に発信。22時15分、発令は市全域に及び、避難者は最大1270人に。7日までの総雨量は384ミリメートル、48時間雨量で観測史上最大を記録しました。交通機関も大きく乱れ、帰宅困難者が発生。市はシティプラザなどを臨時開放しました。
7日朝、大雨特別警報と土砂災害警戒情報が解除されたため、被害の把握と救助を実施。人的被害はありませんでした。同日、県内で最初に市民相談窓口を設置。災害ごみの処理や住宅消毒の手続き案内など、復旧支援を開始しました。
一方で、11日に愛媛県大洲市に給水車を派遣し、24日には緊急消防援助隊が広島県へ出動しました。
北野校区まちづくり振興会の事務局長、飛永光さん(北野町)。浸水被害がひどかった陣屋川沿いにある自宅は、6日の大雨で床上浸水に。当日の様子や心境を聞きました。
平成24年の豪雨では、床上30センチメートルの浸水を経験。でも、今回は73センチメートルでした。
避難所の運営でコミュニティセンターに居た私は、他の従事者にお願いして、6日17時ごろ自宅を見に行きました。自宅周辺は冠水しやすいのですが、まだ側溝からわずかに水があふれている程度でした。「早く避難所に戻らないと」という意識が先立ち、とりあえず気が付いた物だけを2階に上げ、家を後にしました。
大雨特別警報が出て雨脚が強まったので、やはり家が心配になり、18時30分ごろ再び自宅に行くと、2時間足らずで前の道が胸くらいまで冠水。タンスやテレビなど大きな物を逃がすことができませんでした。6年前の経験で「浸水してもあの程度だろう」と、油断があったのだと思います。
避難所には、引っ越してきたばかりの人も居ました。そこで、ここで水害を経験した私たちが、知り合いからの情報を教えたりしていました。少しは安心できたのではないかなと思います。私も1人で居るより気が紛れましたし。地域の人が避難所運営に入る良さを感じました。
私が家に戻ったのは水が引いた8日の朝。いよいよ本番だなと覚悟しました。
親族と一緒にごみを片付け、家を乾かし、清潔にしました。でも、現実と直面するのはここから。家の修復や今後の生活再建があります。厳しい選択を迫られる人も居るでしょう。でも被災した私たちは、前を向かないといけないのです。
後ろ向きになりがちな時に私を救ってくれたのは、地域の人の存在でした。
片付けを始めた時、大勢の人がすっと手伝ってくれたり、食事や飲み物を持って励ましに来てくれたりしました。そういう人と一緒に居る時間は、現実に押しつぶされそうな気持ちを、少しの間忘れさせてくれました。後ろからそっと手を添えてくれた感じ。普段顔を合わせる人でなくても、何かあったら何気なく助け合える。このつながりに感謝するとともに、大切にしなければと再認識しました。
被災した皆さんが一日も早く以前の生活を取り戻せるよう、直後から相談窓口や支援制度を設けています。今後も、全市一丸で復旧を進めます。
市は、7日から宮ノ陣・上津クリーンセンターで災害ごみを受け入れ、通常休業の8日も宮ノ陣クリーンセンターを開け、臨時受け入れの体制を取りました。また、住宅の消毒や被災した家庭のごみの回収、農業や事業所の相談窓口の設置など、被災した皆さんの復旧活動を支えました。
生活の再建に向けては、市営住宅を一時入居先として提供したり、税や保険料を減免したりしています。学校では、子どもたちへのカウンセリングも行っています。
被災家屋から水に濡れた家財道具や畳を運び出し、屋内を乾燥させるには、多くの人手が必要です。
そのため、市社会福祉協議会は9日に、「災害ボランティアセンター」を開設し、被災した市民からの依頼受け付けをスタート。11日からはボランティアの受け入れを行い、片付け作業の支援を開始しました。
同センターを閉じた22日までに寄せられた支援の依頼は82件。それに対して、延べ706人のボランティアが活動しました。
災害後初となる連休初日の7月14日、149人のボランティアが久留米を訪れ、濡れた畳や家財道具の搬出、清掃などに従事。現場で話を聞きました。
津福本町の床上浸水住宅でボランティアリーダーを務めた大石英敏さん(広川町)は、「浸水の被害は目に見えない形で進む」と言い、「遠慮して支援を求めていない人が多いのでは」と不安を見せました。
大石さんは、被災地の復興を支援する市民団体の代表として、熊本をはじめ、各地で活動を行ってきました。「冠水した家を早く乾かさないと、カビが生えて健康を害したり、基礎が腐って住めなくなったりします。多くの人で早く片付けるのが大切」と指摘します。
被災した市民の皆さんに、大石さんは「広島や岡山などを見て、遠慮しているのではないかと思うんです。皆さんも同じ被災者。きちんと声を上げ、支援の手を借りてほしい」とメッセージを送りました。
ボランティアに関する問い合わせは、市社会福祉協議会へ(電話番号0942-34-3035、FAX番号0942-34-3090)
市は、被災した市民の皆さんへのさまざまな支援制度を用意しています。
この他にも支援制度があります。
詳しくは市ホームページ「被災者支援情報」で確認してください。
被災地では、強引な修理の勧誘や、火災保険が適用されお金が掛からないと偽った高額工事契約の提案などが発生しやすくなります。義援金名目でお金をだまし取る詐欺にも注意してください。
怪しいと感じたら、その場で決めずに誰かに話すか、消費生活センターに相談してください。
【問い合わせ先】消費生活センター(電話番号0942-30-7700、FAX番号0942-30-7715)
被災した市民の皆さんへの義援金を募集しています。義援金箱の場所や振り込み口座・方法など、詳しくは市ホームページに掲載しています。
【問い合わせ先】総務課(電話番号0942-30-9052、FAX番号0942-30-9706)
平成30年7月豪雨で、市内で発生した浸水の多くが内水氾濫によるものでした。発生以降、市民の皆さんから問い合わせが続き、多くが「氾濫は水門操作が原因なのか」というものでした。そこで、今回の内水氾濫の状況を解説します。
7日未明までに、観測史上最大の雨が降り、筑後川と支流の下弓削川や陣屋川、大刀洗川、山ノ井川などで水位が一気に上昇しました。
本流の筑後川は、市内の雨に加え、上流の山間部などで降った雨が流れ込むため、6日夜に「氾濫危険水位」を超過。支流の水位よりも高くなりました。このままでは、水位の低い支流に筑後川から大量の水が逆流し、大規模な氾濫につながるため、河川法に基づいて各支流の河口にある水門を閉鎖しました。水門を閉じても支流の水を筑後川に流せるように、ポンプを作動させます。しかし、今回の雨は2日間で7月の平均降水量を上回り、ポンプの能力を超えたため、内水氾濫が起こりました。
経験を今後に生かすため、国や県と協力し、内水氾濫が起こった状況を検証します。その上で、流域の住民の皆さんと水門操作時の情報提供などについて話し合うなど、課題の解決に努めます。
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