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第34回 じんけんの絆(平成30年10月15日号)

母子家庭の貧困を無くしたい

福岡市立ひとり親家庭支援センターで、死別や離婚、未婚で一人親となった人たちの支援に携わっている丹生秀子さんに話を聞きました。

深刻な母子家庭の状況

 一人親になった人たちから、いろいろな相談を受けます。中でも、母子家庭の悩みや問題は深刻です。彼女たちの多くは働いていますが、一人で家事や育児をしながら働き続けるのは、とても厳しいことです。非正規で働いているため、賃金は安く、パワハラやセクハラを受けやすい立場にあります。仕事を掛け持ちし無理を重ねて体調を崩す人も居ます。子どもの病気などで仕事を休んだり、残業ができないことを責められ、ストレスから心を病む人も居ます。
 私も母子家庭で子育てをしてきたので、相談に来る母親の苦労を身に染みて感じます。

背景にある認識

 平成28年の厚生労働省の調査では、母子家庭の平均所得は、全世帯平均の半分にも満たない金額です。結婚後に家事や育児のために仕事を辞めたり、働いていても非正規雇用だったりする女性が多いことが理由の一つです。夫の収入を頼りに生活していた人が死別したり離婚したりした途端、経済的に困窮してしまうのです。
 背景には、男性が稼ぎ、女性が家を守るという性別による役割分担を、当たり前と捉える社会の風潮があると思います。その認識を変えていかないと、母子家庭の貧困は無くならないのです。

社会は変えていける

 母子家庭の母親から「離婚したことを親や周囲から責められて辛い」という相談を受けることがあります。離婚した母親の多くが、身近な親にも頼れず、周囲に助けてと言えない状況です。経済的に苦しい上に、社会的にも孤立しているのです。標準モデルから外れた家族に社会は冷たいように感じます。
 一人親家庭は年々増えています。時代も変わり、多様な家族のあり方を認め合っていいはずです。辛い、苦しいという思いをもっと表現していいのです。声を上げれば人とつながり、それが行動を生みます。小さな動きかもしれませんが、社会を少しずつ変えていけると信じています。

【問い合わせ先】男女平等政策課(電話番号0942-30-9044、FAX番号0942-30-9703)

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